王城アメフト部員の疑問
王城高校アメフト部には一つの不思議というか疑問が存在した。
アメフト部だけの疑問でもないのだが、少なくともある生徒の教室と その生徒に好意を抱いている人物たちにとってはすこしだけ首を捻るほど の疑問だ。
何故に彼女はそうなのか!
何故にそんな行動をとるのか!
これはそんな疑問に立ち向かった男達の(ある意味)身体を張った戦いである。
οοο
最初に気付いたのは部活を終えた、皆が帰り支度をしている時だった。
ふっとした瞬間に高見は桜庭が若菜に話し掛けている所を見た。
二人からすこし離れていたから内容は聞こえなかったが、いつも、 マネージャーの二人がよく話し合っているのは日常の出来事なので、高見も 他の部員もあまり気にせず、着替えをしにロッカールームに入っていった。
大抵の場合は最初に練習をして、その次にミーティングや反省会をする。
時には始めのほうでミーティングをする場合もある。
話し合いをする時は必ず、ホワイトボードや黒板を使う。試合の流れや 作戦などはホワイトボードを使うが、黒板は一日の予定と月の用事などが 書かれる。
朝のミーティングは、ほとんどが一日のスケジュール変更で、その度に 黒板の消された文字の上に新しい白い字が書かれる。
そして、ホワイトボードは桜庭で黒板は若菜が担当していた。
毎日繰り返し行なっているから誰も気にもしていない。
そして、次の日の朝練で珍しく一日の予定が変更された。
その為に若菜が爪先立ちで黒板の文字を書き直し、桜庭がその新しい予定を ノートに書きとめていた。
いつも通りの行動を普通に眺めていた一人の部員が。
「そういえば、なんで桜庭って黒板消さないんだ。」
突拍子も無く、桜庭と若菜の方を向きながら言った。
部員は何となく言った言葉で深い意味はなく。桜庭からも簡単に答えてくれる と思って発した言葉だった。
しかし、その質問をされた桜庭はあきらかに動揺していた。肩をビクリと弾ませて、 手に持っていたメニュー表をグッと胸に押し付けて、苦笑いの顔を全体で 表わす。
「ど、どうして。そんな事、き、聞くんですか。」
なぜか、顔を赤く染めながら言った相手に聞き返し、「別にいいじゃないで すか」と慌てて付け加える。
何故桜庭が照れているのか、聞いた男子も傍にいた部員たちも 「別に恥しい事を聞いた訳でもないのに」と心の中で呟いた。
たまたま、進も高見もその場に居て様子を見ていたので他の人たちと 同じに首をかしげた。
ただ若菜だけは微妙な顔をして困っていた。
放課後のロッカールームで高見は進に今朝の疑問を進に尋ねた。
「・・・・・なぁ、進。」
「はい、何ですか。」
「思い出してみると桜庭ははじめの頃の黒板消しはいつも若菜くんに 頼んでいたんだよね。自分からしてた姿がなかったな。」
「自分も、桜庭が教室での掃除も箒を使ったところしか見ていません。」
「そうなんだ。」
あのあとの桜庭は「あ〜〜、早くしないと授業が始りますね〜〜。」と すごい棒読みの言葉の後にさっさと部室の中から居なくなってしまい。
残された部員は去り際に疑問も置いていかれてしまった。
授業の時は忘れていたものが、部室に入ると今朝の事が思い出してきて、 高見は隣にいた進に疑問の答えを聞こうとした。
「なんで、桜庭は自分で消さないんだろう。進は桜庭に聞いた事あるかい?」
「いいえ、自分も聞いた事はないです。」
「やっぱり進も知らねぇーか。」
二人の会話を耳にした部員の一人が話に入ってきた。
他の部員もやはり桜庭の態度が気になっていたらしく、周りに居た 男子にも聞いてみるが、誰もが『知らない』と答えている。
徐々に桜庭の態度が変と疑問が部員全員に広がって。 すっかり、会話の輪から進と高見が外された。
しかたなく会話を一旦中断して、着替えに集中していた進が思い出すかの ようにポツリと零した。
「・・・・・そういえば、自分は一度だけ桜庭が椅子に上がって消しているのを 見たことがあります。」
「えっ、椅子に上がってたの?」
「はい。」
「桜庭って今、170ちょっとだよね、なんで椅子を使うのかな。」
普通は背の小さい女子が黒板の上の部分に手が届かない時に椅子を用いるが、 桜庭は平均の女子より身長が高く、進との身長差はあまりない。
ちょっと背伸びをすれば届くのだ。だから、椅子は必要がない。
それなのに桜庭は必ず椅子に上がるらしい。
「それは解りません。ですが、立って消した所は一度も見てません。」
ますます、疑問を深めてしまい。よけいに解らなくしてしまった。
しかしここまでくると、どうしても疑問を解明したくなる。意地である。
ロッカールームが男子たちの悶々とした考えで埋まりそうだった時に、 扉から控えめなノック音が鳴り、ドアの隙間からちょこんと若菜の顔が 出てきた。
「あのー、皆さん。もう時間なんですけど・・・・・。」
遠慮がちに声をだした若菜はこの部屋の異様な雰囲気に尻込んで、小さい声が よりいっそう小さくなった。
いつまで経っても来ない部員たちに痺れを切らしたショーグンが若菜に 早く呼んで来いと言われて。 こうして呼びに来たのだが、部員全員が自分の方を何も言わずにジーっと見て くる姿に冷や汗が背中に浮き出た。
一刻も逃げ出したい状況で自分が高見に手招きをされて居る事に気がつき。
「高見さん・・・・・なんですか。」
恐る恐るといった感じで近づいた若菜に、高見は部員全員の疑問をぶつけた。
「若菜くん、なんで桜庭は黒板を消さないんだろか。」
キラリと眼鏡が光ったのは気のせいではない筈だ。
高見は今朝の若菜の態度を目敏く見ていたので、たぶん若菜は何かしら 知っているのだろうと思ったのである。
コレを聞いた若菜は『えっ?』と呆けた後、言いづらそうに。視線を キョロキョロさせる。
言っても良いのか、悪いのかと考えているのだろう。
「桜庭には内緒しとくから。」
笑いながら言いのけた高見に疑惑の目を向けたが、すこしして。
「本当に言わないで下さいね。」 と困りながらに喋った。
「桜庭さんが黒板を消そうとすると、胸が黒板に当たるんですよ。」
若菜がはっきり、きっぱりと上の言葉を言うと一瞬の沈黙が訪れ。
「えっ?」とか「は・・・?」とか間抜けな声が所々から聞こえた。
若菜は気にせずに言葉を流す。
「ほら、桜庭さんて。胸、大きいじゃないですか。だから黒板の方だと 背伸びすると当たるらしくて。制服が汚れちゃうんです。」
それにホワイトボードだとあまり高くないから、それで自然に私が 黒板担当になるんですよ。
桜庭さん、ちょっと、その、こういう話題は嫌いなんで、本当に言わないで 下さい。
絶対駄目ですよ。桜庭さん落ち込んじゃいますから。
そう続けて言った若菜だったが、あいにく部員たちにはその言葉は耳には 通っていなかった。
今、部員の頭の中は一生懸命に桜庭の胸を思い出している最中だった。
黒板を消そうと背伸びし、胸が黒板にピットリと張り付いて、 「あっ、汚れちゃう。」などと何処かのAV女優が甘えるような声をだしながら。
なぜかYシャツのボタンが2,3個外れて、チョークの粉を払っている桜庭を 想像していた。
もちろん、進の頭も例外ではなく悶々と桜庭の裸体(胸集中)が浮かんでいた。
若菜が爆弾を投げ入れてしまった所為で、重かった空気が別の意味で 重く変わってしまった。
「何してるのさ、皆。ショーグン怒ってるよ。」
ガタガタガタガタッドゴッ
扉が勢いよく開け放たれて、問題の人物が顔をだした。
皆が一斉に扱けて、尚且つ顔を赤くしてこちらを見ていた。
その中に慌てて顔を背けて、そわそわと挙動不審になっている者。 自分の顔より下に視線を向ける者。脱力して床に伏している者。
桜庭はこの奇妙な光景を不思議に思った。
空気がなんとなく不快な気持ちにされる。
皆がギクシャクした様子の中で、桜庭は何故に彼まで固まっているか気に なった。
「進、どうしたの。しかもロッカー、潰れてるし。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
まさか自分がさっきまで頭の中で裸にされていたとは知らずに桜庭は進に 近寄り、上から見下ろす。
見下ろされた進はロッカーの扉をこれでもかっと言うほど、へこませ。
冷や汗を垂らしながら、うずくまっていた。
ちらりと桜庭の方を見るが、先ほどで話題にのぼっていた所為か。 男の性の所為か。たぶん後者。
桜庭の顔より胸に目がいってしまう。そして、ますます身を縮めた。
妙な仕草をする進に桜庭は具合が悪いと思ったのか、おもむろに接近して 進の顔を覗き込む。
「進、大丈夫。顔・・・・・赤いよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
額に伸ばしていた手を避け、桜庭から少し離れた。
その行動に不満を感じて桜庭は、また進に近づく。
「なに、逃げてんだよ。熱があったら大変だろ。もうすぐ、秋大会が始るん だから。」
「・・・・・大丈夫だ。熱じゃない。」
「そんなに首まで赤くして、なにが大丈夫だ。いいから額だせ。」
なおも離れようとする進にイライラがたまり、怒りの顔が浮かび上がった。
「大丈夫だから、少し離れてくれ。」
顔を背けながら言ったこの言葉で桜庭が切れて。
「〜〜〜〜〜っ!!!いいから、保健室行くぞ!!」
そう言いながら進の右腕に抱きついてきた。
予想していなかった行動をされて進は驚いて桜庭の方をみた。
桜庭は進の腕に自分の両腕を絡ませ、顔を目の前にもってきている。 その顔は眉間に皺を深くさせて、どれだけ彼女が怒っているのかを表わして いた。
顔があまりにも接近してしまい、さっきまで桜庭相手にいかがわしい妄想を していた罪悪感で顔を合わせるのが嫌で思わず下を向いたのだが、その後 すぐに後悔した。
下には桜庭の胸の谷間がTシャツの隙間から見え、そのデカイ胸が自分の 腕を挟み込んでいる映像が飛び込んだからだ。
「・・・・・っ!!!!!」
声にならない大声をだして、身体が一気に硬直して一部が元気に山を つくった。
桜庭はそんな進の変化に気付かず、躍起になってヘタレこんでいる男の腕を 引張り上げていた。
二人を遠巻きで見守っていた部員は恋人に翻弄される可哀想な男に、静かに 心で『頑張れよ』と手を合わせ。
そっと部室をでた。
疑問は解けたが、数日はまともに桜庭が見れない日々が続いた。
ついでにショーグンを怒らせたおかげで、いつもより厳しい練習も だいぶ続いた。
王城高校アメフト部の皆様に合掌。
終
これって下ネタなんだろうか
下ネタになれなかった下ネタのような気がする
そうでもないですか?
トサカ頭の桜庭は巨乳。ヒヨコ頭の桜庭は貧乳、 と、勝手に脳内で決めてます
いや、ヒヨコが巨乳でもいいんですよ、かわりに今度はトサカが貧乳であれば
なぜかトサカ=ヒヨコにならない、6ハルのおかしな頭
つーか、進と高見の口調が わ か ん ね ぇ よ