貴方の事が好きなのです
近藤さんは可愛い。ものすごく可愛い。
他の奴らは近藤さんの事を「カッコイイ」「男前」「渋い」等と言うが。
俺に言わせればあの人は『清楚可憐の可愛い子』に分類される。
刀を持った戦場での姿も可愛い。隊服を着て立っている姿も可愛い。 縁側に座って昼寝をしてる処なんて言葉に表わせられないくらいに可愛い。
そんな近藤さんだから俺はいつも傍にいて危険に晒させないよう、 あの綺麗な笑顔を曇らせないよう、変な害虫が付かないよう。
頑張って仕事をする。
たとえ、その所為で近藤さんと会えない日が続こうとも。
俺はあんたの為に死ぬ気で苦労を背負おう。
だから、貫徹明けの気持ちの悪い感じをさわやかにする為。
『トシッ』と呼びながら微笑みかけてくれるあんたの顔を見ようと 部屋の前まで来てみれば。
なんなんだ。
なんなんだこれは。
秋の昼間にはめずらしい。暖かい、春を思わせる空気の中。
近藤さんは寝巻きのまま居た。
胸元がすこし肌蹴てて色っぽい。
色っぽいのはイイ。大歓迎だ。
けど、近藤さんの膝に乗っている物体が気に食わねぇ。
「おお、トシ」
可愛い笑顔をされて挨拶されても、膝の上にある色素の薄い髪の人物が 気になって仏頂面になってしまう。
俺でさえ触った事の無い膝を使って、膝枕をしている総悟がムカツク。
睡眠不足と過労が手伝って。気持ち悪かった頭にイライラが募り、 総悟の頭を足で小突いた。
そして、案の定。
「何やってんだ」
「別に………」
そう言って蹴られた部分に手をのせ、俺に向かって叱る近藤さんはやっぱり 可愛い。
癒されてるのか、そうでないのか分からない生温い空間に腰をおろす。
総悟は熟睡しているらしく、蹴られても起きないで。『グゴッ』と可愛くない いびきをした。
俺は自分が認めるほどの近藤さん馬鹿だ。
ああ、そうだ。俺は近藤さんが好きで好きでたまらない。
告白も何も。行動に移せないくせに他の奴らが近づくと勝手に怒る。
ずっとずっとアンタに対してムッツリしてるよ
悪いか!?ごらぁあ!!(自覚があるぶん始末に負えないですよ:山崎談)
「また徹夜したのか。身体によくねぇから止めとけ」
そう言って土方のほうには目を向けずに総悟の髪を梳いている。
「ああ、この馬鹿が毎度毎度、俺の仕事を増やした挙句にめちゃくちゃに しなければ。徹夜なんて身体に悪ぃもんしねぇよ」
今回の徹夜に至った仕事はすべて沖田に原因があった。
いつもの如く過激派テロリストのアジト及び人物達を壊滅させる為に、 沖田がその建物や周りにある公共施設を半壊状態にしてしまったのだ。
「あははははは、総悟らしいな」
「いや、笑い事じゃねぇーから」
予想通りに天然を発揮した近藤に素早く土方のツッコミが入る。
『近藤さんはやっぱり可愛いなぁ』と思いながら癒されていた土方だが、 やはり貫徹は身体に堪えていたらしく。
話の最中に意識がふっと消えた。
眼を開けたら赤と橙の中間ぐらいの色が見えた。
「あ…?」
酷く間抜けな声がでて、寝起き特有のぼやけた視界が広がっていた。
しばらくの間、自分がいる状況がわからなくボーっとしていたら。
ずんずん視界がクリアになってきて。 どんどん自分の顔が引きつるのがわかった。
ああ、どうしよう。
これは夢か。そうなのか!?そうなんだろう!!
これが現実なら俺は今本当に死んでもいい。
いや、やっぱ死にたくねぇ。もったいない。
「よく眠ってたぞ、トシ。やっぱり疲れてんだろ。無茶すんなよ」
顔を覗きながら前髪をすいてくる手が温かくて気持ちよくて。 笑った顔が可愛くて。
頭の下にある『モノ』がずっと触りたかった膝で。
目の前には可愛い顔で綺麗な笑みを浮かべている。
近藤さんが居た。
総悟の奴は何処行った、とか。
何時間ぐらい寝てた、とか。
聞きたい事があったけど。
「もう少し寝ててもいいぞ」と近藤さんが言うもんだから、その言葉に 甘えて憧れの膝枕をもう少しだけ堪能させてもらった。
次に目が覚めても近藤さんが居る。
そう思うと口がニヤニヤしてきて、笑いを隠すことが出来なかった。
終
土方は近藤さんの事が大好きなんです。
近藤さんが居るだけで簡単に幸せになっちゃうんですよ。